Vol.19 25AW いよいよ秋、気になる4つのアイテム
- kaifuku8
- 9月17日
- 読了時間: 6分
更新日:9月26日
30℃を超える夏の熱気がようやく遠ざかろうとしています。天気予報によると東京は9月19日辺りから最高気温が一気に24℃〜25℃あたりに。カレンダーや気温の数字よりも、朝晩の涼しさが「秋が来た」と告げてくれそうです。
ただ、この時期の洋服選びは難しい。昼間は半袖でも十分なのに、夕方には腕をさすりながら帰路を急ぐことになる。「コートを出すのはまだ早い。でも夏服のままじゃ心許ない」──毎年、そんな思いを繰り返しています。今回は、そんな季節の変わり目に、私が自然と手を伸ばしてしまう4つのアイテムについてご紹介致します。
BIG BOWTIE BLOUSE
最初に袖を通した瞬間に「あ、これはただのシャツじゃない」と感じました。
200/2という超細番手のコットンで織られた生地は、指先に触れると本当にシルクのようになめらか。
ちょっと寄り道して説明すると──200/2というのは、200番手という極めて細い糸を2本撚り合わせて織り上げたという意味。糸が細ければ細いほど、生地は繊細で上質になります。普通のシャツが“日常着”だとしたら、この200/2は“ドレスシャツの世界”。ヨーロッパの高級メゾンが使う布と肩を並べる品質なんです。しかも、このブラウスに使われている生地は高密度でありながら柔らかく、肌に沿うと“すっと吸い付くような軽さ”を感じる。9月のまだ暑さが残る日にも快適に過ごせるのは、この素材の力だと思います。
このブラウスの魅力は、やっぱりボウタイ。
白なら端正に、ストライプなら軽快に。結び方ひとつで印象が変わるのが楽しくて、私はその日の気分に合わせてアレンジしています。ある日、白いリボンを大きく結んで出社したら、同僚に「今日はなんだか秋っぽいね」と言われました。
逆に週末にストライプを小さく結んでカフェに行った時は、鏡の中の自分を見て「もう夏じゃないんだな」としみじみ。たかがブラウス、されどブラウス。気温の変化以上に、季節のスイッチを押してくれる存在です。
ORGANDY BLOUSE
季節の始まりにちょうどいいのが、軽やかな透け感をもつオーガンジーブラウス。
シルクライクな質感に、ほんのりとした艶。風をはらむとふわりと揺れて、秋の光をやさしく映してくれます。
使われているのは、極細のポリエステル糸を高密度に織り上げたオーガンジー。オーガンジーは基本的に「平織り」というもっともシンプルな織り方で作られていますが、糸を強く撚って、目を詰めて織ることで独特のハリと透明感を生み出しています。さらに仕上げの段階で特殊な加工を施すことで、薄さに反してシルエットが自立し、光沢がいっそう引き立つ。布そのものが光を受けて変化するため、昼と夜で印象が大きく変わるのも魅力です。
このブラウスは二重仕立て。肌に触れる部分は透けすぎず安心感があり、その上に重なるオーガンジーが空気をまとってふわりと揺れる。アウトで着れば軽やかに、タックインすればショートブラウスのようにまとまる。ひとつのアイテムでいくつもの顔を見せてくれるのは、この構造ならではです。
私はバイオレットを選んで黒パンツに合わせていますが、昼間の自然光では軽やかに、夜のレストランではドラマティックに映える。アイボリーなら透明感が増して清々しく、ブラックはモードな雰囲気に。色によってもキャラクターがまったく違うのが面白いところです。
季節を切り替える時、必ずしも“温かさ”だけが答えではありません。軽やかさや透け感で空気を一歩先取りすることが、秋をポジティブに楽しむ秘訣。
WOOL POPLIN JACKET
9月の後半、私は毎年のように必ず“うっかり”します。昼間の暖かさに油断して半袖のまま出かけ、帰り道の風に震えて後悔する。去年なんて同僚がオフィスに置いてあったストールを貸してくれたことがあります。
そんな失敗を防いでくれるのがこのジャケットなんです。
素材は日本が誇る尾州産のウールポプリン。尾州は世界的にも名高いウール産地で、しなやかさと張りを兼ね備えた生地を織り上げる技術には長い歴史があります。
このジャケットも例外ではなく、軽やかなのにしっかりとした存在感があり、羽織るとシルエットに自然な立体感が生まれる。そんなウールポプリンのジャケットは、通年の継続品番。ウールは保温性だけでなく、通気性があるので、意外と真夏以外はシーズンレスなんです。
私はシンプルなワンピースに合わせてディナーに行くのが好きです。
カジュアルなつもりだったのに、ジャケットを肩に羽織るだけで急に“場が整う”。
オフィスの会議でも、週末の街歩きでも、肩にかければきちんと感が出る。
「寒さをしのぐための服」から一歩進んで、「自分の姿勢を整えてくれる服」、そしてさりげなく「自分をランクアップさせてくれる洋服」だなと感じています。
COTTON SHIRT WITH TIE
シャツはワードローブの基本。でもこの“タイ付き”は、基本以上の楽しさを秘めています。
素材は、タイプによって2種類。
無地には200/2のコットンツイル(綾織)を使用。200番手という極細の糸を2本撚り合わせた高番手生地で、指先に触れるとまるでシルクのようになめらか。ブロードに比べて綾織は糸が斜めに走るため、陰影のある柔らかな光沢が生まれ、さらに透けにくいのが特徴です。細番手の軽やかさを持ちながら、安心して一枚で着られる。そのバランスが絶妙です。
一方で、ストライプには120/2のコットンブロード(平織)を採用。無地のツイルよりもパリッとしたハリがあり、表情が少しシャープに。織りの違いがそのままキャラクターの違いとなり、同じシャツでも色や柄によって印象がガラリと変わります。

そして、このイタリア製タイのデザインは、極めてシンプルですがただの装飾ではありません。ネクタイのようにしっかり結べば、マニッシュでモードな印象に。小さなリボン結びで蝶ネクタイのようなユーモアさも出せます。結ばずに垂らせばラフで都会的なムードを漂わせます。19世紀のボウタイブラウスのエッセンスを受け継ぎながらも、DOMELLEらしい現代的な解釈を加えたディテールです。
私は午前中の打ち合わせには、シャツをアウトしてカシュクール風な着方にしています。でも夜のレストランに行く時は、ウエストにタックインしてキリッとした印象に。
同じ一枚なのに、3倍、4倍楽しめる、そんな贅沢を味わえるシャツです。
時間帯やシーンによってまるで別の服のように姿を変えてくれる。その自由さこそ、この“タイ付きシャツ”の真骨頂だと思います。
季節の変わり目は、何を着ればいいか迷うものですよね。でも「1枚で3倍、4倍楽しめる」という安心感があれば、そんな迷いもポジティブに変わる。
袖を通すたびに「今日の私をどう見せようか」と問いかけてくれるこのシャツは、日常に小さなドラマを添えてくれる存在なんです。
季節が変わる時、私たちは少しだけ慎重になります。寒さに備えるというより、新しい季節にどう馴染むかを考える。けれど、そこに迷いがあるからこそ、服を選ぶ時間は楽しいのだと思います。
ブラウスで季節を切り替え、オーガンジーで軽やかさを添え、ジャケットで自分を整え、そしてシャツで遊び心を足す。
この4つがあれば、9月の風を「ちょっと涼しい」じゃなく「もう秋だ」と前向きに楽しめる。
毎年繰り返す季節の移ろいも、今年は少し違って見えるかもしれませんよ。
そして、ふと街角のショーウィンドウに映った自分を見て「よし、秋の私も悪くない」と心の中で小さくガッツポーズする。
そんな瞬間を迎えるために、この4つのアイテムはあるのだと思います。
✳︎各アイテムの詳細は LOOKBOOK でもご覧いただけます。



















