『ニット工房に行ってきました』
これまで、BLOGを通して、DOMELLEのお洋服が、皆さんのもとへ届くまでをお話ししてきました。
毎シーズン、コレクションの企画がスタートすると、デザインからシーチングでトワル作成(仮縫い)をし、パターンができあがります。その後、実際の生地で展示会サンプルを作成し、LOOK・ビジュアルの撮影を経て、年に2回の展示会を開催。そこで各取引先からオーダーいただいたアイテムとその数量のみを生産します。
その約半年後に店舗に並び、皆さんのもとへとお届けできるわけですが、まだ皆さんにお話ししたことがなかった、その半年間の製品生産工程の一部分を今回はお話ししたいと思います。
まず、展示会でオーダーいただいたアイテムとその数量を集計したあと、生産部署が工場に生産指示をします。その工場というのも、1つの工場ですべてを生産するわけではありません。
工場にも特性があるからです。
例えば、ドレスシャツを縫うのが得意な工場、パンツを縫うのが得意な工場、あるいは、繊細な生地を扱うのが上手な工場など。生産部署は、その工場の特性ごとに生産するアイテムを割り当てていくわけです。
今回はその中でも、とても繊細なシルクやカシミヤのDOMELLEのニットを編んでいただいているニット工房を視察してきました。
Vol.12『DOMELLEのシルクニット』で、シルクはとても繊細な素材のため、扱える工場も数少ないとお話ししましたが、その数少ない工場を拝見できるのは、私にとってもとても貴重な体験です。
今回訪れた工場は、長野県の静かな街中にある、とても素敵な『ニット工房エルマーシュ』さん。ご兄弟で経営をされており、十数人の熟練した技術者でニットを作っているのだそう。
最初に見せていただいたのは、このカラフルなパソコンの画面。
ホールガーメントと呼ばれる、どこにも縫い目のない特殊な編み技法の設計図とのこと。
私は、実際に機械でどうやって編まれるのか知らなかったのですが、このようなシステムで、ニットの編み方、ゲージなどを細かくプログラミングしていくんだそうです。
そして、プログラムされたデータを機械に転送すると、機械はその指示通りに編んでいきます。大きな音を立てて、少しずつ少しずつ編んでいきます。
なんと編み上げるのに1着あたり少なくとも約1時間かかるそうで、複雑なパターンだとそれ以上かかることも。
ホールガーメントの編機は、そのまま着れちゃうようなほぼ完成版のセーターの様に編み上がります。
工場の2階に上がると、十数人の手作業を行なっている職人の方達がいました。
なにやら編み上がったニットのループとループを1つずつ手作業で繋ぎ合わせるリンキングと言われる作業をしています。
リンキングとは、編みのひと目ひと目を連続する針に手作業で差し込み、縫い合わせる手法。ミシンで縫うのと違って伸縮性があり、縫い目がとても繊細なニットならではの仕立てで、これはまさに職人技です。
さらに奥に進むと、最後の仕上げ作業を行う、プレス室です。
とても太い針金で出来た型枠に服を着せて、アイロンで丁寧に最終調整をしていきます。
この型枠はデザインに応じて毎回作成されるようで、壁一面にたくさんの型枠が保管されていました。ブランドから指示された寸法通りに仕上げる為、ミリ単位で細かくアイロンをかけます。
今回、実際にニット工場を視察して、1着にこんなに手の込んだ作業が詰まっているのだという驚きと同時に、これは是非読者の皆さんにも知って頂きたいという強い思いが湧き上がりました。
製品として皆さんに届くまでに、長い月日をかけて様々な工程で何人もの人が携わり、その緻密で丁寧な作業によってDOMELLEの品格と質感が保たれているのだということ。それがブランドに関わってものづくりをする方々に支えられて成り立っているということ。
本当に感動したんです。
DOMELLEのニットデザインは、難易度が高いと仰っていました。でもその難しいデザインや要求があってこそ高い技術が維持されるのだとも。様々な試行錯誤を繰り返して何度もトライすることで、新しいものが出来上がる。
今後も、そんな頼りになる職人さん達と共に、切磋琢磨しながらものづくりをしていけたらと思います。